2024/10/30穴埋め

先日届いた島黄楊を順次ミカン割して製材を進めています。

今回はこんな感じの上等な虎斑も取ることができました。

こちらは赤柾として仕入れた丸太から取れた板です。赤柾は丸太の一部からしか赤い部分がでませんので、写真のように普通の柾目も取れます。というより7割くらいは普通の柾目で、赤柾は残りの3割あれば御の字。まあこれは想定内です。

痛いのはこういうパターンで、虎斑材として買った丸太を板にしてみたらほとんどただの柾目だった時です。半割という丸太を半分に割ったもので買っていますので切り口から虎斑は確認できていましたが、中は斑が無かったり、意外と薄かったり。。。丸太買いはそのリスクもあるわけで「仕方ないか」と割り切るのですが、困るのはこの材の価格設定です。詳しい金額は言えませんが、虎斑材は並材の5~10倍くらいの値段がします。それで板にしてみたら普通の柾目だった時、普通の柾目で虎斑の価格にはできないので、並材の価格に合わせます。しかしそれでは足が出てしまいますので、この材の損失は全額とは言わなくともいくらかは綺麗な杢が出た上述の虎斑や赤柾に上乗せして穴埋めするしかありません。結果、いい杢の出た材は材料費がグンと上がってしまうという事情につながるわけです。

逆に全部当たりの木だったらそういう穴埋めが発生しないので、上物の価格を下げられるのですが、そうではないから難しいです。

ところで選挙のニュースを見ていて、当選した議員さんたちの万歳三唱が特徴的なのに気づきます。肘を伸ばして手のひらは内側を向けて万歳しています。実は万歳には正式なフォームがあって、「万歳三唱令」という明治時代の太政官布告に詳しく書かれていて、それに倣うとその形になります。

というのは冗談で、この万歳三唱令、文書の存在は事実ですが、偽書であり明治時代の布告ということや万歳の正式な形などは全くのデタラメ。90年代にとある人物が遊びで作った文章が巡り巡って文字通り「嘘から出た実」になったそうです。一部本物と勘違いした人もいたそうですが、さすがに国会議員にもなる人はこのくらいの情報リテラシーはあるでしょうから、万歳三唱令が偽書であることはご存じでしょう。
では何故、万歳三唱令に一部倣った万歳が残っているのか?万歳の形は「両手を頭の上にあげる」こと以外は決まった形が無く、全くの自由。しかしその全くの自由というのが逆に気持ちが悪く、無意識に誰かに形を定めてほしいというバイアスが働くことで、冗談とは分かっていつつも万歳三唱令に倣ってしまうというのが一つの説のようです。

これもまた穴埋めだなと思った週末でした。