2021/09/10駒箱の制作「仕口②」

仮組みして木口の角度や寸法に問題がないことが確認出来たら雇い実(ヤトイザネ)の加工を行います。

写真のように加工します。機械はトリマーやルーターを使います。申し訳ありませんが加工中の写真はありません。
理論上、雇い実の溝は深ければ深いほど組手としての強度があります。つまり抜けにくいということです。しかし溝を深くすればするほど今度は板の強度が落ちていきます。3枚目の写真を見ていただくとそのあたりが分かるかと思います。溝を深くするといつか溝が板を貫通してしまいます。
板の強度を保ち、組手としての強度も失わないというのは相反する要求になりますので、最終的には間を取ったようなバランスに落ち着きます。

うちでは溝の幅は1.6mmに設定しています。そして実の材料は一旦1.7~8mmに加工します。ほんの0.1mmですが、実の方が分厚く入れることができません。いえ、本当は押し込めば入るのですが外すのが大変で仮組みが面倒になるのと、本番で接着剤を入れてから入れようとすると摩擦と膨張、接着剤の逃げが無いなどの要素が増え、組めなくなります。
そこでひと手間かけます。実をペンチを使って軽く押しつぶします。圧縮した状態で1.5mm程度になるようにします。そうしておくと仮組みはすんなりと出来、接着剤を入れて組むときにも接着剤の逃げがあり組みやすく、組んだ後に実が接着剤を吸い込み膨張し、もとの1.7mmかそれ以上になろうとするのでしっかりと組むことができます。
このあたりはダボ継ぎのダボから着想を得ました。

今日のお話は専門的で少し難しかったかもしれません。「住谷は何だかややこしいことをしている」くらいに思っていただければと思います。