2022/01/03本年もよろしくお願いいたします |
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新年おめでとうございます。 2022年の正月は、息子を連れて隣県の実家の方へ帰ってゆっくりさせていただきました。実家の押し入れには過去の私の作品が転がっているのですが、久しぶりにこちらの箱を見つけました。
駒を作ることはとても楽しいですし、皆様のおかげで新しいことにも取り組ませていただいていますが、時々過去の作品を見返すと当時の苦労を思い出しますし、駒が売れるようになる前の作品とかも見ますととにかく楽しさだけで作っていたそんな勢いみたいなものも感じて懐かしくなります。 新年早々、過去を振り返る変なブログになってしまいました。 ところで、駒箱作りの経過報告が途中になってしまいすみません。 |
2021/09/28初めて自作駒が売れた日のこと |
9月28日は思い出があります。 2008年の9月27日と28日、関西駒の会の展示即売会が大阪のATC(アジアトレードセンター)で開催され、当時専門学校1年生だった私も声をかけていただき展示会に参加させていただきました。ATCは大阪市内ながらややアクセスが悪いのですが、プロ棋士の指導対局や、駒の会代表と畠山先生との席上対局など駒の展示以外のイベントも色々と準備されていてかなり盛り上がっていた印象があります。 展示会も中盤に差し掛かったころ、私の駒を買いたいという人が現れました。年配の男性で、ご家族と一緒にたまたま通りがかって興味を持たれたようでした。その時に出品していた駒は、9作目清安彫り駒と11作目菱湖彫り駒。男性は清安の彫り駒が欲しいと声をかけてくださりました。 ただ、少し値段を下げてほしいと交渉が始まりました。 「私が値札の価格で買います」と、別の男性が現れたのです。 その後どう事が進んだか、もう13年も前のことで事細かには思い出せないのですが、結局展示されていた清安の彫り駒はあとから現れた男性が買って帰られました。 つまりこの日は自作駒が初めて売れた日であると同時に初めて依頼を頂いた日でもあるのです。 そしてそのあと展示していた菱湖の彫り駒も売れていきました。 18歳の新米アマチュア駒師にとってはあまりに濃厚な時間でした。もしずっと私一人で対応していたら、うまく対応できずに誰かを怒らせたり、悲しませたかもしれません。関西駒の会展示会の場で、メンバーの皆さんに助けてもらいながら初めての売約という経験ができたのは幸運だっと思います。 その日を境に、自作駒も依頼を頂くようになり、現在はほぼ全て依頼を頂いて制作させていただいています。 |
2021/09/21駒箱の制作「隅丸加工」 |
前回のブログで隅丸駒箱の雇い実加工を紹介しました。
駒箱は大体4~5ミリくらいの板厚で制作しますが、隅丸駒箱は6~9ミリくらいに木取し、内側は真ん中を平面に、外側は角を丸く削ることで隅丸型に成形します。指物と刳り物の両方の技術を使うことになりますね。その分手間も技術も必要です。
①~③平面部分を加工します。 丸ノコで荒れた面は鉋できれいに削って均します。角の方はキワ鉋というちょっと変わった鉋も使います。内側の平面度や厚みはこの時点である程度整えます。今回は平面部を5.2mmくらいまで削りました。あとで微調整したりサンドペーパーで仕上げて5mm丁度になる寸法です。 ④輪ゴムで仮組して大きさを確認します。 隅丸の丸い部分の加工は接着してから行います。 |
2021/09/10駒箱の制作「仕口②」 |
仮組みして木口の角度や寸法に問題がないことが確認出来たら雇い実(ヤトイザネ)の加工を行います。 写真のように加工します。機械はトリマーやルーターを使います。申し訳ありませんが加工中の写真はありません。
うちでは溝の幅は1.6mmに設定しています。そして実の材料は一旦1.7~8mmに加工します。ほんの0.1mmですが、実の方が分厚く入れることができません。いえ、本当は押し込めば入るのですが外すのが大変で仮組みが面倒になるのと、本番で接着剤を入れてから入れようとすると摩擦と膨張、接着剤の逃げが無いなどの要素が増え、組めなくなります。 今日のお話は専門的で少し難しかったかもしれません。「住谷は何だかややこしいことをしている」くらいに思っていただければと思います。 |
2021/09/05駒箱の制作「仕口①」 |
製材が済んだ材料は反りなどが出ないよう養生しながら、底板や天板が嵌まる箇所の欠き取り、角を45度に切り取る作業を行います。特に底板と天板が嵌まる欠き取りは組み立ててしまうと加工ができなくなってしまうため組み立て前にすべて済ませておく必要があります。 下の写真は欠き取りをして仮組みをした角箱の写真です。角箱は外箱と内箱の寸法をほぼ図面通りに加工して仮組の時点でギリギリ外箱に内箱が入るくらいにしています。
一方こちらは隅丸の加工です。やや専門的ですが隅丸の場合は角箱や隅切のように機械に通しての溝加工ができないので、底板や天板の嵌まる欠き取りはもう少しあとの工程で行います。
写真(左)は隅丸の外箱と内箱、角箱用の板の厚みを比べたもの。角箱は5mm、隅丸は外箱と内箱それぞれ所定の厚みにしてあります。
次は雇い実の加工をします。 |