| 2024/07/30暑い |
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いつの間にやら梅雨明けしまして、急激に暑い日が続くようになりました。空調の無い工房は日中は30度を超え、機械を動かすと機械と人間の熱でさらに気温が上昇し、35度程度は当たり前です。木工房は細かな粉塵が舞うためエアコンの導入は難しいと思いますが、さすがに体温近くになると扇風機の効果も無いか、場合によっては悪影響になることもあるそうで、熱中症には気を付けたいところです。
この暑い時期は水生植物の全盛期で、連日蓮や睡蓮が咲いてくれます。蓮は花弁の形が美しく、線のつながりや形の豊かさは工芸作品の参考になりそうです。 オリンピックも開幕。近頃はメディアに触れる機会も少なくオリンピックが始まることも直前まで知りませんでしたが、始まってみればやはり観てしまいますね。柔道は技ありと指導+反則だけになった今のルールは競技者でない素人にはかなり整理されて分かりやすくなった印象です。20年くらい前は技の決まり加減で技ありの下に有効(さらに昔は効果も)がありましたが、有効だけとって、あとはうまく躱して優勢勝ちみたいな展開も多く、それに対する言葉として「一本を取る柔道」なんて言葉があったりしたわけです。今は技が(正しく)入れば一本か技ありなわけですから、「一本を取る柔道」と言う必要がなくなりました。本来の道の形とは違うという議論もありますが、競技ルールとしてはかなり洗練されていると感じました。あとは審判の恣意性を排除できれば良いのですが。。。 |
| 2024/07/20制作中 |
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現在は彫り埋め駒の依頼品を2組まとめて制作中です。 ほとんどの作業は2組同時進行しても、作業時間が2倍になるだけですが、彫り埋めに用いるサビ漆の工程はむしろ1組分だけ作るよりは2,3組分一気に作った方が練る作業も1回で済みますし、原料も歩留まりがよい感じがするので彫り埋めや盛り上げが連続する時にはまとめるようにしています。 今回は清安と奥野錦旗です。いずれもそれぞれのご依頼主様こだわりの造りになっています。細かい仕様は割愛しますが、どちらも木地から制作しました。 清安の方は木地のサイズがいわゆる大振りサイズよりさらに大きいサイズになっており、彫る際は治具ギリギリでした。 左が清安の王将(裏)と歩、右が奥野錦旗です。奥野錦旗は普通サイズですが、左の特別仕様の駒と並ぶと王将サイズが金か桂馬くらいに見えてしまいます。 いずれも彫りあがりましたので、これから目止めを施し、サビで埋める工程に入ります。 |
| 2024/07/10駒台制作 |
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昨今は駒箱も色々と多様化しているようで、ヤフオクなどでも色々なタイプがあります。駒台はやはり四本脚と一本脚のオーソドックスなタイプが主流のようですね。何か面白いデザインは無いか考えてみたこともありますが、如何せん時間がないことと、駒や駒箱と違って盤の高さとセットになるので在庫してもしょうがないという性質から何もなしに作るというのはできないんですね。
幕板という部分はよく見られるのは禅寺の火灯窓を模したような形が多いですが、今回の駒台は依頼者のリクエストで少し凝ったデザインにしてみました。あまり飛躍してもと思い、伝統的な意匠をベースに構成しました。 どんな風に仕上がるか、私も楽しみにしています。 |
| 2024/06/30漆を縮ませない考察③ |
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ここまで漆の性質と、盛り上げを縮ませないためにここまでやってみた対策を書いてきました。具体的には空ムロや焼き漆を使って、盛り上げ表面の乾燥速度を遅くする対策でしたが、完成とまでは言えない対策でした。 何度もグルグルグルグルと漆を盛上げた時の縮みについて考え、ここまでまだ試していないアプローチがあることが分かりました。 収縮しない漆は冗談として、相対的に差を縮める作戦としてまずは空ムロを見直してみることにしました。これまで使っていた空ムロは「湿度を上げない」空ムロでしたが、「湿度を下げた」空ムロをやってみることにしました。原理は単純で、箱の底にシリカゲルを敷いて上に桟を敷いて駒を乾かす方法で、これならカラッカラに乾燥した超空ムロにできます。これで外気に影響されるリスクは減り、表面の硬化速度をぐっと遅くすることはできました。ただこの超空ムロだけだとこれまでやってきた対策と大差ありません。焼き漆作戦と、やり方は違えど中身は同じになります。 大事なのは「差」を縮めることなので、もう一つ行ったのが「活性の良い漆を使う」ことでした。漆にも、年や時期、産地、漆屋さんごとの好みに合わせた調合などで、乾燥速度に違いがあり、例えばものすごく早く乾くものもあれば、比較的ゆっくり乾くもの、ちゃんと湿度をかけてやらないと拗ねてしまう漆など色々あります。つまり漆によっては盛り上げ内部や空ムロでもそこそこ反応してくれる漆もあるわけで、それをうまく利用できれば表面が超空ムロでじっくり硬化している間に、内部の漆も自力でそこそこ硬化してくれて、表面と内部の差を埋めることができるかもしれないと考えました。漆については具体的にどこどこ漆店の何々がいいとかは難しくて、自分で何種類も黒呂色漆を試して場合によっては調合などもしていい塩梅のものを探しました。もちろん艶の程度なども見ないといけないので、乾燥速度だけに囚われてもいけません。 非常に難儀な研究ではあるのですが、数年前にやっと縮みや艶感などが比較的安定する漆と作業工程が今のレベルとして固まった感じがあります。ちなみに漆は同じ漆でも、早く乾燥させると艶消しで且つ色が濃くなり、ゆっくり乾燥させると艶が出て色が濃くなりにくい性質があります。空ムロから湿ムロに移すタイミング、湿ムロのコンディションなどこちらの勘が勝負を握る部分も多く、また実際の所は盛り上げの技術面もまだ酷いというとこれまでお求めくださった方々に失礼かもしれませんが、まだまだ特訓と研究の余地があると思います。 今回の話では盛り上げ、漆、ムロをキーワードに漆の硬化原理と縮ませないようにするための対策を考察してみました。実際には作業者の勘や盛り上げの技術面といった不確定要素も残されてはいますが、一応この考察は今回の③をもって最終としたいと思います。 |
| 2024/06/20漆を縮ませない考察② |
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さて、前回は漆の硬化原理と、盛上げ駒に縮みが出てしまう典型パターンを書きました。 今一度、要点を整理すると、 まず私が最初に盛上げ駒を試した時にやったことは「奇跡に期待する」でした。つまり何の対策もせずただムロに入れるだけです。それでもいくらかは成功するんですね。ただ非常に不安定ですし、あまり良い仕上がりとも言えませんでした。まあ当たり前ですね。。。 ところで漆のプロは塗り物を硬化させる際にどうしているのでしょうか? どうしてこれが縮み対策になるのか?ですが、冒頭の要点で出てきたラッカーゼの活性環境と関連します。「空ムロ」は湿度を上げていないムロなので、具体的な湿度は分かりませんが例えば40~50%ほどとすると、ラッカーゼの活性は最適環境に比べると弱くなります。それでどうなるかというと、表面の硬化がゆっくりになります。そのことで内部が硬化・収縮しても縮みにくいという理屈になります。 早速、空ムロを採用しますがこれも中々難しいんです。空ムロと言っても「湿度を上げない」ムロなので、雨などで勝手に湿度が上がることもあって、急な夕立で昼間に盛り上げたものが全滅なんてこともありました。 次にやってみたことは「漆の硬化を遅くする」ことでした。具体的には「焼き漆」というものを利用して漆の硬化時間を延ばすという対策です。焼き漆とは漆を一定温度まで加熱することで、酵素であるラッカーゼの活性を無くしてしまった漆で、ラッカーゼの効果が無い分乾燥がとても遅い漆になります。皆さんも中学校の理科の実験で唾液に含まれるアミラーゼを加熱すると、酵素の活性が無くなってデンプンが分解されなくなるという実験をしたことがあるかと思います。それと同様のことですね。 焼き漆は単体ではほぼ硬化できないため、普通の漆と混ぜて使います。焼き漆を使った方法はどうだったかと言えば、当時の結果としてはあまり芳しいものではありませんでした。狙いとしては盛り上げ表面の硬化を遅らせることで縮みが無くなると読んだのですが、意外にも「時間をかけて縮んだ」んですね。また盛上げ表面を含め硬化時間が非常に長くかかるため管理が大変で、確認のために持ち上げたりした際にまだ漆がべたついていて埃がついてしまったり、低レベルですが、触ったり落としたりするミスも生まれやすく、あまり実戦的という結果にはなりませんでした。ただもちろんまだまだ研究課題ではありますが。 焼き漆で行き詰った時は結構困りました。空ムロ+焼き漆で盛り上げ表面の硬化を遅らせるというアプローチは合っているはず。それでも縮んでしまうのでどうすればよいのか? 長くなりましたので、また次回に。 |