2021/09/05駒箱の制作「仕口①」

製材が済んだ材料は反りなどが出ないよう養生しながら、底板や天板が嵌まる箇所の欠き取り、角を45度に切り取る作業を行います。特に底板と天板が嵌まる欠き取りは組み立ててしまうと加工ができなくなってしまうため組み立て前にすべて済ませておく必要があります。

下の写真は欠き取りをして仮組みをした角箱の写真です。角箱は外箱と内箱の寸法をほぼ図面通りに加工して仮組の時点でギリギリ外箱に内箱が入るくらいにしています。

一方こちらは隅丸の加工です。やや専門的ですが隅丸の場合は角箱や隅切のように機械に通しての溝加工ができないので、底板や天板の嵌まる欠き取りはもう少しあとの工程で行います。
隅丸は厚めの板を削りだして形を作ります。厚さの違いは写真(左)のように並べて比べるとはっきりします。これは隅丸のRが大きいほど違いは大きくなります。仮組してみますが、内箱は外箱に全く入りません。

写真(左)は隅丸の外箱と内箱、角箱用の板の厚みを比べたもの。角箱は5mm、隅丸は外箱と内箱それぞれ所定の厚みにしてあります。
仮組した隅丸の外箱に図面の線を写してみます。そうすると、内箱が入るようになるイメージができると思う。

次は雇い実の加工をします。

2021/08/20駒箱の制作「製材」

駒づくりと並行して駒箱もいくつか作っています。
角箱の他、隅丸、隅切印籠も制作しているので、ブログで経過を報告していって、完成したら種類ごとに制作工程をコラムにまとめられたらと思っています。駒箱が出来ていく工程を楽しんでいただければ幸いです。

まずは「製材」です。

製材とは要は板を作ることを言いますが、私たちの仕事でいえば材木屋で仕入れて乾燥させていた荒材やブロックを作品制作のために厚みや幅を切りそろえる作業を言います。

早速、厚みと幅が整った状態の板になりました。本来なら荒材の木取りという作業からご紹介したかったのですが、1か月ほど前にバタバタと済ませてしまい写真がありませんでした。いきなりこんなことではいけません。。。

材料はまず予定の寸法よりも数ミリ厚めにバンドソーで挽き割り、エアコンが効いた部屋に並べて十分に乾燥させます。それから機械を使って厚みを仕上がり寸法+0.5mmくらいまで削ります。鉋で+0.3mmくらいまで削った後、機械で幅を切り揃えます。丸ノコ盤で縦挽きする作業は下手をすれば指を失うのでいつも緊張します。

そうして準備できたのが上の写真の板になります。
その後、丸ノコ盤を使って長さを切っていくとっこのようになります。

左から、楓隅丸印籠×2、欅隅丸印籠、栃隅丸、楓隅丸、欅角箱、タモ角箱の予定です。
天板と底板は仕上がりより数ミリ大きめに切ってあり、再びエアコンルームで乾燥させます。側板はこれから木口に角度をつけたり雇い実(ヤトイサネ)の加工を進めていきます。

今回は杢が出た良い材料が多いです。ご依頼者様をこれ以上お待たせしないよう頑張ります。

2021/08/06治具の作り直し

駒の側面と天面の磨き用の治具が少しくたびれて精度が悪くなってきたので作り直すことにしました。

こちらが元々使っていた治具です。削るときは左の面にサンドペーパーを張って駒を乗せたスライド治具の方を動かして削ります。

でしたが、6年ほど使っているうちにベースのベニヤ板がレールの左側だけ摩耗して、スライド治具とペーパーを張る面との相対的な角度が変わってしまいました。微調整しながら使っていましたが、他に気になる箇所もあったのでスライド治具はそのままでベースの方だけ作り直すことにしました。

こちらが新調した治具のベースです。レールやペーパーを張る部分の木を硬い樫にアップグレードし、形状も少し変えてみました。形状変更の成果は、、、70点くらいでした。こういう治具を加工したり改良したりするのもモノづくりの楽しい所です。

2021/07/17蓮の花

今回は将棋駒や木工とは関係ないですが、蓮の花が咲きましたので紹介します。


こちらは咲く2,3日前のつぼみです。

左から開花1日目→2日目→3日目になります。蓮は午前中のうちしか花が開いておらず、日ごとに開き具合が変わっていきます。


そして4日目には花弁がすべて落ちてこんな姿になります。お盆のお花に入っているあれですね。このままおいておくと種が熟していきます。

この蓮は知り合いの陶芸家の方に2年ほど前に株分けしていただいたものです。蓮は4月頃に植替えと株の整理をすればあとは来年まで放っておくだけなので管理は楽です。花弁一枚一枚の造形も美しく、冒頭で木工に関係ないとは書きましたが、作品作りのヒントにもなりそうで花が咲いた折には花弁を眺めて観察しています。

2021/05/20サビの研ぎ出し

先月末に埋め込みをした2組のサビが固まったようなので研ぎ出しを行いました。

サビは埋め終わってからは焦らずにじっくり乾かすのがよいです。
乾いた目安はサビの表面を爪で軽く引っ掻いてみて、カリカリに硬くなって白っぽく引っ掻き傷ができるくらいになれば概ね乾いています。早いとしっとりした感触があったり、傷がつかないなどします。

まずは240番の空研ぎペーパーで字母紙の表面くらいまで研ぎました。

今回のサビの出来はまずまずだと思います。
ここで再び漆ムロに入れて様子を見ます。彫埋めは今月中に完成させたいですね~。