黒柿拭漆駒箱 -隅切印籠型-

ご依頼をいただき制作した駒箱です。材料は持ち込みで、鋸で挽いて板にすると細かく奥行きある杢が出てきました。黒柿は性質上割れや虫食いを含んでいることが多いのですが、杢の良いところにそうしたものが出なかったのは幸運でした。杢の上品さ面白さを消さぬように透き漆を薄塗で何度も重ねて仕上げました。
形は隅切(すみきり)という八角形で、杢や形を生かすために線象嵌や覆輪は施しませんでした。そのままでは蓋が開けにくいですので、ほんのわずかに下箱を上箱より小さくすることで指がかかるようになっています。