2021/08/28楓と栃の違い

楓と栃は立木の段階では姿は全く違いますが、板になると表情や杢の出方がよく似ており、作品として仕上がるとプロでも見間違えることがあるほどよく似た素材です。

現在制作中の駒箱に楓と栃がそれぞれあったので、違いをご紹介できればと思います。
今回の材料はいずれも杢が出ているので特徴が目立ちにくいということもありますが、できるだけ分かりやすい写真を撮ったつもりです。

左が楓、右が栃です。まず白木の段階では楓の方がやや赤みがかり、栃は白~クリーム色をしていることが多いです。ただ拭き漆などを施せばそうした色の違いでは見分けられなくなります。
他の特徴でいえば、楓の方は木目が栃に比べはっきりしている他、赤茶色の小さな点々模様が木の繊維に沿って無数に見られます。一方栃の方は木目は不明瞭で点々模様もなく、代わりにチリメンのような模様が木の繊維に直行する方向に見られます。このチリメン模様は「リップルマーク」と呼ばれ栃の代表的な特徴になっています。

楓の点々模様や栃のリップルマークは拭き漆を施しても確認することができますので、完成した作品でも見分けることができます。

もしお手持ちの駒箱等の品物で、楓か栃が分からなくなったものがあれば参考にしてみてくださいませ~。