2024/05/10習ったことがない

新年度になり、専門学校の仕事は今年は1年生も教えています。
木工専攻に入った1年生はまずとにかく研ぐことから教わります。しかも裏押しという刃の裏を真っ平らに研ぐ作業からです。これが実に地味な作業で1年生には辛かろうと思いますが、重要なことなので辛抱強く手取り足取り教えるようにしています。刃物に触れることがないと、斜めに研がれた”シノギ”と言われる面の方しか研がないのではないかと思われるかもしれませんが、実は刃の裏が非常に重要で、刃の裏を正確に仕込むことで刃物を使いこなすことができます。

などと偉そうなことを言っていますが、私は裏押しという作業を習ったことはありません。と言いますのも、私が在学していた当時の先生は伝統工芸士の職人の先生で、特にひとつひとつを手取り足取り教えてくれるわけではなく、研ぎに関してはただ一言「切れん」しか言ってくれない先生でした。なぜ「切れない」刃と判断されたのか、どうしたら「切れる」のか、ついに教えてもらった記憶はありません。なんだかんだ細かいポイントや技術は、先輩や刃物オタクの同期に教えてもらったり、あとは自分でコツを掴んだりして身につけました。

これはどっちが良いのか、難しいですよね。「技は盗め」と言いますが、習えることをわざわざ盗むのは遠回りなんですね。だけれども、習っても自分で実践したりつまづきながらポイントを見つけていないと真に理解していないこともありますし、さらに言えば、自力でなんとか1周回った頃合いで習うとものすごく良く解る事柄もあったりします。

3,4年生の実習には大ベテランの先生がおられて、その先生に「住谷君、あんまり細かく教えるな。(学生が)分かった気になる」と時々注意されます。

そういえば、教え方も習ったことがありませんでした。