2023/04/01独立して5年 |
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ブログの方はすっかりご無沙汰してしまったようです。 さてタイトルの通り、独立開業して丸5年、今日から6年目に入りました。 あまりこのサイトでは語っていませんでしたが、 少し話は変わりますが、こういう仕事をしていて思うのは、技術や感性、感覚などが仮に上がっていくと仮定して、それはなだらかな登り坂ではなく、階段のようだということです。なにかある拍子にポンと上の段にあがります。「ああ、そういうことだったのか」と急に理解出来たり、転んでばかりだった自転車にある日急に乗ることができるように、あることが急にできるようになったりします。ややこしいのは頭だけ先に1段上に行ったり、逆に手足だけ上に行ったりする変な階段であることです。手はバンバン動くが、脳で理解できていなかったり、逆にやりたいことはイメージしているのに手がついてこない。苦しい時間です。作り手の仕事は大体この時間だと思います。 初めのころは自分の技量や作ることが楽しいという気持ちが上回っているので、楽しいものです。でもどこかで付けてきてしまった感性が技量を追い越してしまい、またどこかで追いつき追い越されを繰り返し始めます。 ここ数年は工芸展への応募もしなくなってしまいました。子育てに追われて時間が無いこともありますが、それ以上に自分の技量が追い付いていない現実にぶつかり、それを引っ張り上げる頭脳もモチベーションも今はないことが大きいのだと思います。要するに逃げです。工芸展に関しては今の僕はそういう時期なのだと思います。 駒づくりは、この1年ほどに取り組んだ作品は主に道具に関して、思い込みやこだわりを捨てて「なりふりかまわない」をテーマというか、アプローチを変えて取り組んでいます。特に新しいことをしているというわけでなくて、ある時期にはやっていたが「やっぱりこれはこうしたい」と頭で考えて捨てた手法を、今一度手段として取り入れなおした感じです。同じようでも当時とは感性も技量も違うので、前にやっていた時よりも手段としてよりよく取り入れられている実感があります。 前の職場の先輩が螺旋階段に例えて言っていたことを思い出しました。 下を見た時、1周前と同じものが見えていると思っても実は見ている高さが変わっている。 まだまだ修行は続きます。 |
2022/01/23駒箱の制作「手掛り~側板の接着」 |
雇い実の加工が済んだ材料は、接着に向けて加工を進めます。
手掛りは型紙を使用して墨付けし、ミシン鋸で切り抜き、ヤスリ等で仕上げます。細かな面取りなどは終盤にまとめて行います。 内側を仕上げたらエアブローで目に詰まった粉を綺麗に飛ばし、接着を行います。
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2022/01/03本年もよろしくお願いいたします |
新年おめでとうございます。 2022年の正月は、息子を連れて隣県の実家の方へ帰ってゆっくりさせていただきました。実家の押し入れには過去の私の作品が転がっているのですが、久しぶりにこちらの箱を見つけました。
駒を作ることはとても楽しいですし、皆様のおかげで新しいことにも取り組ませていただいていますが、時々過去の作品を見返すと当時の苦労を思い出しますし、駒が売れるようになる前の作品とかも見ますととにかく楽しさだけで作っていたそんな勢いみたいなものも感じて懐かしくなります。 新年早々、過去を振り返る変なブログになってしまいました。 ところで、駒箱作りの経過報告が途中になってしまいすみません。 |
2021/09/28初めて自作駒が売れた日のこと |
9月28日は思い出があります。 2008年の9月27日と28日、関西駒の会の展示即売会が大阪のATC(アジアトレードセンター)で開催され、当時専門学校1年生だった私も声をかけていただき展示会に参加させていただきました。ATCは大阪市内ながらややアクセスが悪いのですが、プロ棋士の指導対局や、駒の会代表と畠山先生との席上対局など駒の展示以外のイベントも色々と準備されていてかなり盛り上がっていた印象があります。 展示会も中盤に差し掛かったころ、私の駒を買いたいという人が現れました。年配の男性で、ご家族と一緒にたまたま通りがかって興味を持たれたようでした。その時に出品していた駒は、9作目清安彫り駒と11作目菱湖彫り駒。男性は清安の彫り駒が欲しいと声をかけてくださりました。 ただ、少し値段を下げてほしいと交渉が始まりました。 「私が値札の価格で買います」と、別の男性が現れたのです。 その後どう事が進んだか、もう13年も前のことで事細かには思い出せないのですが、結局展示されていた清安の彫り駒はあとから現れた男性が買って帰られました。 つまりこの日は自作駒が初めて売れた日であると同時に初めて依頼を頂いた日でもあるのです。 そしてそのあと展示していた菱湖の彫り駒も売れていきました。 18歳の新米アマチュア駒師にとってはあまりに濃厚な時間でした。もしずっと私一人で対応していたら、うまく対応できずに誰かを怒らせたり、悲しませたかもしれません。関西駒の会展示会の場で、メンバーの皆さんに助けてもらいながら初めての売約という経験ができたのは幸運だっと思います。 その日を境に、自作駒も依頼を頂くようになり、現在はほぼ全て依頼を頂いて制作させていただいています。 |
2021/09/21駒箱の制作「隅丸加工」 |
前回のブログで隅丸駒箱の雇い実加工を紹介しました。
駒箱は大体4~5ミリくらいの板厚で制作しますが、隅丸駒箱は6~9ミリくらいに木取し、内側は真ん中を平面に、外側は角を丸く削ることで隅丸型に成形します。指物と刳り物の両方の技術を使うことになりますね。その分手間も技術も必要です。
①~③平面部分を加工します。 丸ノコで荒れた面は鉋できれいに削って均します。角の方はキワ鉋というちょっと変わった鉋も使います。内側の平面度や厚みはこの時点である程度整えます。今回は平面部を5.2mmくらいまで削りました。あとで微調整したりサンドペーパーで仕上げて5mm丁度になる寸法です。 ④輪ゴムで仮組して大きさを確認します。 隅丸の丸い部分の加工は接着してから行います。 |