2019/05/26駒箱が名人戦に使用されました

先日、豊島将之八段(当時)が勝利し新名人誕生となった第77期名人戦第4局で私の制作した「島桑隅丸紐縁駒箱」が使用されました。

この箱をご依頼くださった所有者の方が、名人戦第4局に棋具を貸し出すこととなり、私の駒箱もその中に入れてくださりました。対局者が駒などの棋具や部屋の状態を対局前に確認する「検分」では駒箱はこの箱を含め数点が候補になっており、その中から選んでいただいたようです。

将棋駒、棋具製作を始めた当初からタイトル戦、特に名人戦の舞台は夢でしたので、今回ご採用いただき本当にうれしく思います。駒箱をご依頼いただき、対局へご提供いただいたE様とのご縁に感謝いたします。

(対局開始の様子は、abemaTVの映像をお借りいたしました。)

2019/02/21サビ入れ

制作中の盛上げ駒にサビ入れを行いました。
今回の作品は、菱湖2組と源兵衛清安1組。
このあとも3組盛上げ駒が続きます。

こちらは1回目のサビが固まったもの。
スリキリまでサビを入れています。


2回目のサビをいれました。
文字がうっすら透ける程度の厚さで出来る限り均一に。
厚盛りすると内部の乾きが悪くなったり、研ぎ出しが大変になったりとあまり良いことがありません。

このあとは少し時間を掛けて乾かして様子を見ます。

2019/01/06駒治具を新調

仕事始めは4日。まずは壊れてしまった駒彫り治具の新調から。

 
こちらは旧タイプ。2年ほど前にこの治具を製作しました。
クサビの代わりにネジを仕込み、ネジを締め込むことで駒を固定する仕組みです。
非常に強固に固定できるので気に入っていましたが、ネジの締め込みが強過ぎて木部の強度が耐えられず、昨年使用中に治具の剣先側が割れてしまい使えなくなってしまいました。
思い直せば、固定するのにネジを2本も締めないといけないし、ネジの可動域が小さく駒の大きさに合わせてスペーサーを挿入する必要もありクサビ式よりも固定に手間がかかっていたので、そろそろ改良の時期だったのかもしれません。壊れてもしまいましたし。

そこで、新しいタイプの治具を作ってみました。


こんな感じです。
中学校の技術室にある「万力」の機構に近いもので、駒の右側のジョーが左右に動くことで駒の固定と解放をします。
同じくネジ式ですが、ネジの本数を1本に減らし、ネジの可動域も確保してスペーサーも不要になりました。

これまでの治具との違いで期待できる点は、
・両サイドと駒尻の三方を固定しているので非常に強力に固定できる。
・木地の製造元による微妙な角度の違いもある程度カバーできる。
・大きさが今までのものに比べコンパクトに(直径4センチくらい)。
・クサビやスペーサーに頼らず固定できるので駒の大きさが変わっても手間が少ない。
懸念されることは
・前作と同様に治具の木部がネジの締め込みの強さに負けて割れてしまうこと。
・この機構を実現するために裏側は複雑になっており、持ち手の丸棒との接続部の強度に不安がある。
・作るのに手間がかかる。
といったところです。

ひとまず数組彫ってみて調子を見てみます。
また使用感や改良などがありましたら更新します。

 

2019/01/04新年おめでとうございます

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

年末年始は妻の実家と私の実家で過ごしました。妻の実家が栃木県ということでやや移動疲れもありましたが、テレビを見ながらゆっくりとお休みを頂くことができました。

今年こそは①駒10組以上完成②駒箱も完成③日本伝統工芸展入選④レベルアップ達成します。

昨年末工房の前でイノシシに遭遇しました。
車に乗っていましたので逃げてくれましたが、縁起がいいような悪いような。。。

2018/12/16ご無沙汰しております

 みなさま、ご無沙汰をしております。住谷です。
更新が滞ってしまい申し訳ありません。

2018年は大きな変化のある1年でした。
3月末をもって勤務していた会社を退社し、4月から独立しました。
仕事は、木工作品や注文品の制作と将棋駒や駒箱などの棋具制作です。

今年の1月、このブログでこんな目標を掲げていました。
『今年の目標は、①日本伝統工芸展入選、②駒を10組作る、③作り手としてのステージを上げる、こんなところです。』
残念ながら、すべて達成できませんでした。
日本伝統工芸展は選外、駒は3組しか作ることができませんでした。
一朝一夕には達成できぬ目標もありましたが思ったよりも
工房を造ることの大変さ、
運営していくことの大変さ、
自らの力不足を痛感しました。

工房づくりは1月からこつこつと進めて、4月には機械も入り制作ができる体制となりましたが、ゼロからの工房づくりはドライバー一本から揃えていく必要があり、出費や時間も想定以上にかかり秋ごろになってようやく本腰を入れて制作できる状態になったように思います。
なかなかホームページの更新もできず申し訳ありませんでした。

独立のことは近しい方にしかお伝えしておらず、皆さんにはご心配をおかけいたしました。
将棋駒と駒箱のご依頼もまだお待ちいただいている方が沢山おられます。
長くお待たせしてしまい申し訳ありません。必ず作り上げます。

一歩ずつではありますが、平成最後の年となる2019年はもっと気合入れて頑張ります。