2024/02/29黒柿を買いました

今月初め、お付き合いのある材木店さんから電話がありました。
「黒柿の厚盤がありますが、どうですか?」
20年の夏に初めて訪れた材木店で、その際にも黒柿のブロック材を買い求めたことを覚えてくださっていたようで、ご連絡を頂きました。やや遠方ですので、写真を送っていただき、良さそうでしたので購入。

届いたのがこちらです。写真では大きさが分かりにくいですが、幅45cm、長さ70cm、厚さ16cmと大きな厚盤で、しかも生木ということでかなり重いです。測っていませんが、40㎏くらいあったかもしれないです。木表の方は樹皮と苔が残っており、配送業者のお兄さんも「これは何ですか?」と不思議そうにしていました。

材木は買い方にいくつか種類があり、一番一般的なのは乾燥材の板で買う、もうひとつは今回のように生木で買う、さらに丸太で買うというパターンもあります。
リスクと価格が反比例の関係にあり、単価が最も安いのが丸太買いですが、中身が見えない。乾燥材は木目を直接確認でき、またすぐに使えます。しかし高いです。今回の生木の厚盤はその中間で、乾燥材よりは安いですが、中身が完全には分からないのと、無事に乾燥させることができるかどうかがこちら次第。ひどければ割れがたくさん入って使い物にならないリスクがあります。

先ほどの材木店さんに相談すると、やはり盤のまま放置すると割れやすいとのことで、なるべく早く薄い板にして乾燥を促進した方がよいとのことで、次回は製材です。

2024/02/20ブレンド

私は遊びや趣味が少ない方ですが、この10年ほどで急にハマったのが園芸、特に山野草の栽培です。以前にコラムにも書きましたが、前職の会社のお隣さんが山野草の会の会長という縁で、山野草を色々と教えていただき、今では工房の前のスペースに大量の植木鉢が並んでいます。

植物栽培で欠かせないのが水やりと植え替えですが、山野草の植え替えはこの早春が一番のシーズンです。植え替えは本当は午前中に済ますのがよいのですが、さすがに日中は仕事をしないといけませんので(笑)、夜にちょこちょこと進めています。

植え替えに使う土は、赤玉土、鹿沼土、軽石、腐葉土、あとは肥料や調整剤など。最近はホームセンターでも培養土が充実していますので、培養土を買ってくれば手間もかからず簡単ですが、なんとなくそういうことじゃないと言いますか、自分で単用土をブレンドするのが楽しいのですね。去年は蒸れてしまったから赤玉の割合を減らして軽石を足そうとか、軽石入れ過ぎてガラガラの土で根張りが悪かったとか、色々出てくる問題を自分で考えて改善点を探す。これも結局職人の性なのかもしれません。

2024/02/10少し変わった

いきなりですが、この駒木地の写真をご覧ください。

黄楊は黄楊ですが、ちょっと不思議な感じがしませんか?

実はこれ薩摩黄楊なんですが、目が薩摩黄楊にしてはものすごく細かいです。ぱっと見だと島黄楊の根柾などとも間違えそうですが、柾目の荒い部分を見るとやはり薩摩黄楊の特徴が出ています。詳しい方だと小黄楊とか薩摩黄楊の自然木をご存じかと思いますが、おそらくその系統ではないかと思います。

一般的な薩摩黄楊(左)と比較するとこんな感じです。

一昨年、薩摩黄楊として原木で仕入れていますので確証があるわけではないのですが、植林の薩摩黄楊でこの目の細かさはあまりないのではないかと思います。原木をミカン割しているときから少し気にはなっていましたが、木地に仕立ててみるとやはりそうではないかと思っています。

こちらの木地はご依頼をいただいた作品で大きめに整形してあります。味よく仕上がればと思っています。

2024/01/30区切り

私は駒の仕事と木工芸の仕事と併せて専門学校の先生(助手)をしています。先生と恰好を付けて言っても、木工芸専攻の担当ですので木工芸の仕事の一環と言えばそうかもしれません。

先生の仕事に就いたのは4年前。まさにコロナで初めて緊急事態宣言が出ていた時期で、春に赴任するも職員会議も中止、入学式も中止、6月になってやっと授業が始まる。そんなスタートでした。マスクの着用がほぼ義務づけられている状況で、学生たちとは互いの顔も上半分しか見えない。木工を教えるにはどうしても手取り足取り教える必要がありますが、ソーシャルディスタンスや手指のこまめな消毒が叫ばれていた時期で、なんともやりにくさがありました。

そんな大変な時期に入学した学生たちも今年度4年生となり、ついに先日最後の卒業制作を作り終え、4年間のカリキュラムを修了しました。鉋も砥石も触れたことのない状態から、立派な作品を作り上げるまでに成長した彼らと作品たちを見ると感慨深いです。贔屓するわけではないですが、自分と同じ時期に入った子たちを見送るのはやはり少し特別な感じがしていて、これまで他の学年の実習も担当しましたが年度を終えた時の気持ちが少し違う気がしています。

彼らの卒業制作は京都市内の施設で展示されますので、宜しければご覧ください。
『京都伝統工芸大学校 第28回卒業修了制作展』

先生の仕事自体は今後も続く(はず)ので、春からはまた新たな気持ちで新入生や進級した2~4年生と工芸に励みたいと思っています。

2024/01/20難題

仕入れた木地を駒木地に仕立てていきます。

今回は薩摩黄楊の根杢材です。
薩摩黄楊の根杢は原木での入手は難しく、35mmほどの四角、厚みはテーパーがかかった状態で切り出されたものを材料屋さんに見繕ってもらい、板目と柾目を仕入れました。2年ほど手つかず湿度を下げた部屋で保管していました。

反りやテーパーのバラつきが多く、まずはテーパーの状態を揃える加工から始めました。

ベルトサンダーと簡易な治具を用いて、10度のテーパーに揃えました。整形の余地を残すために厚みは適当に厚めに残しておきました。


こちらは板目の根材(縮み杢)。縮み杢の出方だけでなく木目も全く模様が違います。


こちらは柾目の根材(縮み杢)。板目よりは木目はいくらか揃いますが、目の幅や色目はやはり異なります。

こうしてみると根材の模様を「完全に」揃えるのはかなり難しいのがお分かりいただけるかと思います。
島黄楊の製材をするようになって私も理解を深めた部分がありますが、杢が出る木地は一つの根っこの塊から数枚採れたら良い方でして、4,50枚揃えるのに何本も木が必要になります。木が違うと当然目の幅や色目が変わってきます。

木取りの理想は「共木(ともぎ)」と言って、1本の木から全ての材料を揃えることができると材料の色や表情を合わせやすくなります。しかし杢の場合は前述のように1本の木から数枚ずつしか採れないため複数の木からできるだけの表情の近いものを集めて、駒木地に仕立てる際には杢が駒の良い位置に出るようになんとかかかんとかまとめています。

さて、どうなるでしょうか?